大を小で流す。

往往にして、大は小で流します。

僕はもう「世界で一番旨い食べ物」を食べることはできない。

 

 

世界で一番旨い食べ物は「カップヌードル ミルクシーフード味」である。

 

 

シーフード味も勿論旨い。しかし、シーフード味はミルクシーフード味への序章に過ぎない。シーフード味の完全体はミルクシーフード味なのだ。シーフード味はシーフードエキスの強烈な旨味と塩味がいささか刺々しく舌に突き刺さる。そこにミルクの羽衣を纏わせ、優しく、まろやかな舌触りにすることに成功したのがミルクシーフード味だ。その舌触り、喉越しはまるで絹だ。そのことから日清の商品開発部は完成当時、ミルクシーフード味と名付けるか、シルクシーフード味と名付けるかで一悶着あったとかなかったとか。そんな噂があるとかないとかなのである。

 

 

そんな訳でカップヌードルのミルクシーフード味が世界で一番旨い食べ物なのだが、タイトルで僕はもう食べられないと書いた。それは何故か。

 

ミルクシーフード味は期間限定の味だから?否、確かに期間限定の味ではあるが毎年寒くなるとコンビニで発売されている。もう二度と手に入らない、という意味ではない。

 

 

ただ単にミルクシーフード味を作って食べるだけでは、それは単なるミルクシーフード味なのだ。つまり、ミルクシーフード味をポテンシャル以上のモノにする条件、環境があるということで、その条件や環境が、もう再現できないのである。

 

 

一言でまとめると、それは青春だ。青春がカップヌードルのミルクシーフード味を天下無双へと至らしめる。

 

 

 

高校時代。季節は、冬。

17時の暗さにも驚かなくなった頃。

ハードなトレーニングをこなした日の部活帰り。

身体に重く残る疲労感。

同じ方向の部活仲間とふざけながら自転車で坂を下る。

何が楽しいのかずっと笑いあっている。

お腹が空いている。

空いてるなんてもんじゃない。

空腹で死にそうだ。

そして防寒具を容赦なく突き抜けてくる寒気。

手袋の中の指先はちぎれそうなくらい冷たい。

光に集まる虫のように、気がつくといつものコンビニに吸い寄せられている。

カップヌードルのミルクシーフード味を購入。

お湯を注ぐ。

コンビニの前で待つあの永遠の如き3分。

麺や具に水分が戻り、香りが立ってくる。

あぁ、今すぐ食べたい!

タイマーを確認するが、まだ1分45秒。

もしも僕がアインシュタインだったら、この無限に思える3分から相対性理論を着装したに違いない。

ついに3分のカウントダウンが終わる。

口と手を使って割り箸を割るのがいただきますの合図だ。

しかしあと少し、焦らされる。

混ぜなければならない。

混ぜている時、脳は、舌は、数秒後の幸せを知っている。

もの凄い勢いで唾液が溢れ出る。

その唾液をゴクリと飲み込み、よくスープに絡ませた縮れ麺をズルズルズルっと一気に胃に放り込む‼︎

 

空腹にぶち込まれるジャンクフードの旨さは改めて表現しなくともご存知だろう。

加えて凍えた身に沁み渡るミルクの温もり。

その旨さ、天衣無縫。

 

ちょこんとウニを乗っけた肉寿司よりも、黒トリュフを贅沢に削ったクリームパスタよりも、鮑をとろとろに煮たやつよりも、最高級A5和牛のシャトーブリアンよりも、4代目の職人が江戸時代から代々受け継がれている秘伝のタレにつけて備長炭で焼き上げた鰻の蒲焼よりも旨い。全部食べたことはないけど分かるのだ。

 

 

極限状況で仲間と食べるカップヌードルミルクシーフード味は、もはや食事を超えて「喜び」だからだ。人間が生物として持っている「生きる」という本能にダイレクトに伝わるのだ。

 

 

今、何の苦労もなく、ただ腹が減ったという理由で食べるカップヌードルミルクシーフード味は、勿論旨いが、その旨さはちょうど「海水浴ではしゃいで昼過ぎに休憩中友達が食べ始めたポテトチップスうす塩味の一口ちょーだい」くらいである。

 

 

 

 

あぁ、書いていると思い出してきた。あの感動を。ここはしばし、僕に感謝させてください。

 

 

ありがとう、人口添加物。

ありがとう、カップヌードル

ありがとう、日清食品

ありがとう、安藤百福

日清食品の創業者。「カップヌードル」の開発者として知られる。

ありがとう、まんぷく

連続テレビ小説 第99作『まんぷく』。今や私たちの生活に欠かせないものとなった「インスタントラーメン」を生み出した夫婦の知られざる物語。何度も失敗してはどん底から立ち上がる"敗者復活戦"を繰り返した末、二人は世紀の大発明へとたどりつく――人生大逆転の成功物語。

ありがとう、安藤サクラ

まんぷくのヒロイン。長谷川博己が演じる主人公・立花萬平の妻・立花福子役。1986年2月18日、東京都生まれ。2007年、映画「風の外側」で本格的に俳優デビュー後、映画やドラマで活躍。「愛のむきだし」「かぞくのくに」「愛と誠」「0.5ミリ」などに出演し、10以上の映画賞を受賞。2014年には「百円の恋」で第39回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、その演技力は高く評価されている。NHKドラマでは『ママゴト』(BSプレミアム)で主演。

アレを買え、コレを買えって、世の中がうるせぇんだ。

 

 

アレを買え、コレを買えって、世の中がうるせぇんだ。

 

 

 

 

 

 

引っ越した。初めての一人暮らし。生活をする為に必要なものがいっぱいだ。

 

 

まず何より、食べなきゃ死んでしまう。そこら辺の雑草とか虫とかを食べる訳にはいかないから、米を買おうか、野菜を買おうか、肉を買おうか。食べやすく、美味しく頂く為に炊飯器を買おうか、包丁を買おうか。フライパンを買おうか、調味料を買おうか。食材が腐ったらいけねぇ。冷蔵庫を買おうか。すぐに温められたら便利だ。レンジを買おうか。料理をしたら汚れてしまった。洗剤を買おうか。スポンジを買おうか。除菌のアルコールスプレーを買おうか。洗い物の水を切らなくちゃ。水切り用のカゴを買おうか。料理を乗せる皿が必要だ。箸が、スプーンが。お肉の臭みを取るのにナツメグは…まだいらないか。米に虫がつかない様に虫除けはいるのか…??

 

あぁ、服を洗うのに洗濯機が必要だ。洗剤を買おう。柔軟剤もあった方が良いだろう。洗濯ネットはいるのか?洗った服を干す為に、物干し竿はいる。ハンガー、洗濯バサミ、買っておこう。ベランダ用のサンダルは?乾いた服はどこにしまおう。棚が欲しいな。冬服はかさばるし、大きい収納で、靴下・パンツは小さい収納。分けた方が良さそうだ。買いにいこう。虫除けは入れといた方がいい??

 

寝るとこはベッドにしよう。ベッドフレームにマットレスに掛け布団、マクラ。それぞれにカバーも用意しなきゃ。夏用、冬用、春秋用意…。カビ防止に湿気を吸うシートはあった方がいい?布団の圧縮袋は?寝る前に携帯をいじるから近くにコンセントが欲しい。延長コードを買おうか。読書のためにライトも買おうか。

 

 

シーンとしてて、寂しいから面白くないけどテレビでも買って流しておこう。テレビ台も必要だ。リモコンの電池が切れた。単三?単四?フローリングが硬くて痛い!カーペットが欲しい。併せてズレ防止のシートを買っておこう。もっとくつろぎたいからソファも買おう。クッションもあったらいいだろう。

 

カーテンとレースにも機能があるのか。遮光、遮熱、防炎、UVカット、形状記憶…どれが優先?テーブルは冬も使えるようにコタツ付き。直ぐにお湯を沸かせる電気ケトル。小さめの勉強机に椅子。お風呂にも低めの椅子が欲しくなってきた。節水のシャワーヘッド?どういう仕組みだ。大阪市の水道ってどう?浄水器はマスト?

 

 

今の時代、ネットはもはや衣食住の全てに関わる。キャリアは高くつくから格安SIMに乗り換えよう。でもギガが少ないからWi-Fiも契約しないと。Wi-Fiは据え置き?ポケット?プロバイダーはどこがお得?スマホケースが汚れてきたなぁ。充電器が断線した!イヤホンもいよいよ調子が悪い。

 

 

あれ、部屋が汚れてきた。掃除機を買おう。フローリングはウェットシートで、それを付ける棒もいる。カーペットはコロコロの方が取れやすい。替えの分も多めに買っておこう。机はウェットティッシュでサッと拭く。ベッドにファブリーズをシュッシュッしといた方がいい?寝ている間に菌が増えるっていうもんな。

 

排水溝が臭うぞ…トイレもくすんできた…お風呂場にカビが…え、洗濯槽にもカビ?あぁ、洗剤、洗剤、洗剤、薬品、薬品、薬品。トイレが臭う。玄関も臭う。部屋も…?消臭、消臭、消臭、アロマ?ディフューザーってなんだ?

 

 

生きてるだけで臭くなるんだぜ。お前、臭いと嫌われるぜ。消臭しろよ。ヒゲが伸びてみっともねぇ、剃れ。5枚刃だから剃り残しが少なくて肌にも優しいぜ。歯と歯の隙間の歯垢は歯ブラシじゃ届かねぇよ、歯間ブラシを買いな。

 

 

 

おいおい、いつからその服着てるんだ。雑誌を読んで流行りに乗ったベタな格好でもしてろよ。

 

コンタクトは手で洗うより気泡で洗った方が綺麗なんだ、この容器と液で自動で洗ってくれるから買いなさい。

 

 

いつかゴキブリが出た時にどうしますか?手で潰せますか?いざという時に、この薬品を買っておきましょう。

 

  

 

 

 あぁ、商品がありすぎる。大袈裟な広告で煽って煽って、どうにかこうにか買わそうとしてくる。便利そうだな、と思ってこの間は「片栗粉専用の容器」を買ってしまった。

 

 

マイナスイオンがどうとかブルーライトがどうとか次亜塩素酸がどうとか、よく分からない言葉で、あたかもそれが無いと死んでしまうみたいな口ぶりで脅してくる。

 

コレが無いと不便でしょ?アレがないと大変でしょう?とコッチをその商品がないと何もできないヤツだと高を括っていやがるんだ。

 

 

本当にいるのか?と疑いつつ、結局は不安になって買ってしまう。知らぬ間に便利で要らないものが増えていく。消費社会の奴隷。

 

 

 

もう、騙されないぞ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝てる時に嫌な夢を見ると、覚えてなくてもストレスが溜まるんです。でも大丈夫。この良い夢パットを枕に敷くと、あら不思議、良い夢しか見なくなってストレスが全くなくなるんです!今なら良い夢パット用カバーと専用の脳波計測器をセットにして……」

 

「買った方が良いのかなぁ…」

 

もみあげのアイツ

 

錆びたチェーンの自転車をキリキリと漕いで登校していると、ヤツは後ろから颯爽と僕を抜かし去る。その瞬間、目の前に現れるのはヤツのケツだ。ヤツが右のペダルを踏み込むとヤツのケツは右に下がる。そして左に踏み込むために一度ヤツのケツは左に向かって上がり、ヤツが左のペダルを踏み込むなり、ヤツのケツは、やはり左に下がる。ヤツは立ち漕ぎをしている。ヤツのケツは、「∞」を描くように上下左右する。

 

通学路は高校に向かって緩やかな上り坂になっていて、最寄り駅からの約1kmは傾斜が増して本格的な上り坂になる。そのラスト1kmでヤツは僕を抜き去っていく。∞に動くケツが僕を嘲笑いながら遠ざかる。

 

 

ヤツの名前は分からない。ただ、自転車に貼る高校のシールは同じ色。つまり同学年。ヤツは、だぼだぼの学ランを着ている。身長の伸びを期待して大きめのを買ったのだろうが、そんな期待も虚しく萌え袖状態になっている。猿顔イケメンピラミッドがあるとすれば、その頂点に君臨するのがV6の岡田君だが、ヤツはその最下層にいる。そして何より、ヤツはもみあげがすごい。僕は心の中でヤツをもみあげと呼んでいた。ヤツのもみあげは心の中でもみあげと呼ばせるほどのもみあげだった。味海苔だ。ヤツのもみあげは味海苔だ。焼き海苔ではない。味海苔の味の部分ゆえの光沢を彷彿とさせるもみあげなのだ。

 

 

夏。外にいるだけで、目を細めなければならないほど燦々の日射がアスファルトを熱し、街路樹からは盛りのついた蝉達の雄叫びが絶え間なく降り注ぐ夏の朝。僕ができるだけ汗をかかないように、なるべく脚に力を入れず、ゆっくり自分のペースで登校していると、例の如くもみあげが僕を抜かす。もみあげが僕を意識しているのかは定かでは無い。しかし、僕はもみあげを意識している。その時点で「もみあげが上で僕が下」という立場ができあがっている気がして、腹が立つ。絶対に抜かし返してやる。僕は3か4で安定させている自転車のギアを、一気に6まで上げてスピードを出す。しかし、6のギアはスピードが出る分、重くて足に負担が掛かる。さらにゴールまではずっと登り坂。しんどい。めちゃくちゃしんどい。でも負けるわけにはいかない。何故なら、、、。何故なら、、、いや、特に理由はかった。ただ、何かムカつくからである!

 

 

僕には当時、登校における美学があった。坂の上にある高校だから、自転車通学の中でも電動自転車率が高かった。しかし女子は良いにしても、男子が電チャに乗るなんて論外。男子たるもの電気に頼らず自分の力で登らんかい。そう思っていた。そして、こっちの方が重要なのだが、どんなに坂が辛くても立ち漕ぎはしないというもの。「別にええやん」大半の方はそう思うかもしれない。僕も今「別にええやん」と思っている。ただ、当時の僕は思ってしまった。「登り坂やからって、必死に立ち漕ぎするのダサくね?」と。尖っていた。訳の分からぬ尖り方をしていた。※女子の立ち漕ぎはそれはもちろん大歓迎だった。立ち漕げよ!と思っていた。立ち漕げよ!と思いながら、その瞬間に強めの風吹けよ!と念じていた。

 

 

 

もみあげは常に立ち漕ぎだった。そのもみあげを結果的に、僕は全勝負座り漕ぎで抜き返してやった。その時の僕は、白鳥であった。湖面をすぅーっと優雅に進む白鳥も水面下では必死に足を動かしている。「立ち漕ぎ禁止」という謎の美学に縛られた僕は、必死に座り漕ぎをしながら、もみあげを抜かす時には、決して必死感を出さない。澄ました顔で抜かす。脚は乳酸でパンパン。でも顔は軽井沢。

 

 

 

毎朝、そんなどうでもいい戦いに勝利し続けてやがて年が明け、年度が変わり、僕は3年生になった。大きく文系・理系でクラスが分けられているから、クラス替えといっても顔ぶれは大きくは変わらなかった。しかし、前の方の席に

見覚えのあるシルエットが。まさかと思い、目を凝らすと、やっぱりそうだ。そこには、もみあげがいた。

 

「あー、さっきの!」「お、お前!!」

みたいな少女マンガの恋の始まり的な展開になるはずもなく。僕はしばらくもみあげを見ていた。

 

どうだろう、皆さんはここから話はどう展開していくと思いますか。

 

 

僕がもみあげに「朝、よく俺のこと抜かすよな」とか「実は意識してたんだぜ」的な告白をして、一気に友情が深まるが、やはり朝は抜かしてくるので、お互いに切磋琢磨してめちゃくちゃ体力がつくパターン。

 

 

昼休みにもみあげが本を読んでいて、気になった僕が話しかけると意気投合し、一緒に登校するだけでなく、一緒に下校もするようになるパターン。

 

 

実はもみあげは念じただけで黒板の文字を消せる能力者で、かくいう僕も念じると指の間に水かきができて結構速く泳げる能力者だったから、能力者同士引き合って、2人で協力して魔界に通ずる井戸(略してまいど)から出現した妖怪を元の姿に戻して校長から感謝として(おおきにスタンプ)を貰うパターン。

 

 

など考え得るパターンは無数にある。が、結論を言うと、もみあげの苗字が池上だったから、当時よくテレビに出ていた池上彰からとって、アキラと呼ばれていたけど、特に話したことはないパターンである。アキラは、無口だった。

 

 

アキラ、元気にしてるかなぁ。

 

 

 

 

おじいちゃんが死んだ

 

 

少し前、と言っても1年前か2年前、正確にどのくらい前かは忘れてしまったけれど、僕の母方のおじいちゃんが死んだ。父方のおじいちゃんは僕が小学生の頃に亡くなったので、僕がおじいちゃんと呼べる人はもうこの世にいなくなった。

 

 

とは言っても、母方の祖父母とはずっと疎遠で、今どこに住んでるのかも分からないし、会話をした記憶も小学生の頃まで遡るし、お年玉を貰った記憶もない。彼らに関連する記憶といえば、彼らの家のケーブルテレビで延々とパワーパフガールズを見ていたことだけだ。だから悲しいというよりも、ニュースで知らない芸能人の訃報を知った時のような感情になった。

 

 

おじいちゃんが死んだ日、母が「おじいちゃんが死にそうやから病院行くで」と言って病院に連れていかれるまでおじいちゃんがそんな状況だった事すら知らなかった。

 

 

久しぶりに家族が1つの車に乗って、病院に向かった。普段からコミュニケーションが少ない方だが、この時の車内は一段と静かだった。そして普段から荒い母の運転は、より一層荒かった。疎遠だと言っても、おじいちゃんは母にとってたった1人の父なのだ。死に目に立ち会えないのは悔いの残ることなのかもしれない。そんな母の早る気持ちをもて遊ぶように、信号はことごとく赤になった。あの時母はどんな気持ちで赤信号を待っていたのか、僕には分からない。

 

 

病院に到着すると、母の歳の離れた妹夫婦が先に着いていた。家系上はおばさんに当たるが僕との歳の差を考えるとお姉さんと言った方が適切だ。そんな彼女は、しばらく見ないうちに鼻をガッツリ整形していた。立派な鼻筋をしていた。真面目に部活に打ち込む体育会系女子高生の精神くらい一本スジが通っていた。

 

 

 

おじいちゃんは既に死んでいた。間に合わなかった。母はおじいちゃんを一見して「死んでもうたら一緒やな」と言った。その時の母の顔は悲しみではなく、何か面倒な事に巻き込まれた時のような顔だった。どういう意味かは分からなったけれど、良い意味ではないような気がした。母はもう、お葬式やその他諸々の今後の事務的な話をしていた。

 

 

 

僕はおじいちゃんを見た。人の死体を見るのは久しぶりだった。やはり特別な感情はわかなかったけれど、眠っているのではなくて確かに死んでいる感じがした。唯一印象に残っているのはおじいちゃんの眉毛だ。あらゆる体毛の栄養を全部吸いきって成長したような、太くて濃い眉毛をしていた。僕も眉毛は太くて濃い方だ。このおじいちゃんの「太くて濃い眉毛」という情報が血の川を下って僕の眉にたどり着いたのかと思うと、太古の昔から脈々と命が繋がって今の自分がいるのだな、というありきたりで大袈裟な感想は今考えたが、その時は僕の眉毛はこのおじいちゃんの眉毛なんだな、くらいには思ったし、血の繋がりの神秘を感じた。

 

 

 

 

数日後、地元の斎場でお葬式が慎ましやかに行われた。母は4人兄妹の長女で、おじさん・おばさんの家族は今時珍しい大家族だから、いとこの数が半端ではない。慎ましやかと言ったのが怪しくなるほどの子供達。もちろんほとんど名前は知らない。明らかに高校生のいとこAは煙草を吸っていた。煙草を吸うことが生活の一部であることを証明するような、板についた吸い方で違和感がなかった。

 

 

僕は急ごしらえの100均で買った黒いペラッペラのネクタイを締めて参列した。ずっと座っていれば終わると思っていたが、どうやらお焼香を上げなければならないようだ。僕は焦った。小学生以来のお葬式で、お焼香の上げ方など全く覚えていない。1人ずつ前に出てお焼香を上げているのだけれど、当然こっちを向いてしてくれるわけもなく、何やらお焼香を摘んで手を上下させていることはわかるが、その手順も詳細も全くわからなかった。僕の番が来た。前の人らと同じくらいの秒数をかけて、お焼香を摘み、顔くらいの高さまで上げ、そっと元に戻した。おそらく間違っているが、しかし、僕の背しか見えていない親戚一同にはバレるまい、と思い直し、やりきった顔で席に戻った。お葬式が終わって、母が「あんた何でお焼香の上げ方も知らんの」と詰めてきた。バレていた。

 

 

 

 

 

 

 

それから数週間後たった日。晩酌をして高揚していた母が嬉しそうに一枚の写真を見せてきた。15人程の大人がスーツを着て記念撮影をしているセピア色の古い写真だった。母が前列の真ん中に座っている中年の男性を指差して「これがアンタのおじいちゃんやで」と言った。写真に写るシュッとしたその中年男性は、明らかにこの前死んだおじいちゃんとは違う人物だった。

 

 

 

僕は心の中で「ちゃうんかい」とツッコんだ。麒麟の川島が優しい笑いを生みだすエピソードトークのオチに、にこやかな笑顔でツッコミを添える時と同じ、あのテンションでツッコんだ。

 

 

 

僕と同じ眉毛だと思っていたおじいちゃんとは血縁がなかった。悲しみはしなかったものの、「遺伝」とか「血の繋がり」とか、それらしく感じとったつもりでいた自分が恥ずかしかった。

 

 

 

 

そういえば昔、母に「お母さんはおじいちゃんおばあちゃんとうまくいってへんねん、あんたが大人になったらまた話すわ」的なコトを言われた記憶がある。それ以来具体的な話はされていない。23歳、身体だけは大きくなったけれど、何てったってお焼香の上げ方すらわからない。僕は、まだまだ子供だ。

 

ハンドスピナー名人伝

 

 

  ある男が、ハンドスピナーを手に入れた。彼は世界でいちばんのハンドスピナーの使い手になろうと決心した。その為に現在世界でいちばんハンドスピナーが上手な師匠を探すと、ジョージという男に辿り着いた。ジョージはハンドスピナーを回すことにおいては天下一品で、片手で軽く弾いただけでも丸一日回転させ続けることができる達人だそうである。男ははるばるジョージをたずねて弟子になった。

 

  ジョージは新入りの男に、まず指の力を鍛えよと命じた。男は言われた直後から親指、人差し指、中指の三本で倒立し、そのまま家まで帰った。家に帰ってからも男は倒立で生活をした。男は寝る時以外は全て倒立で過ごした。外に出るとすれ違う人はみな白い目で見つめるか、男を見ないようにするかの2つに分かれた。男が「倒立でも怪しまれないように」とお尻に顔を描いたパネルを着けたのが逆により怪しまれる結果になってしまった。そして2年が過ぎた。ある日男がスマホでアプリを開こうと画面をタップすると、親指がスマホを貫通した。男は自信を得て、ジョージの元へ行き、成果を告げた。

 

 

  それを聞いてジョージは言う。指の力だけではまだハンドスピナーを回すには及ばぬ。次は、見続ける力をつけよ。ハンドスピナーが回っているときによそ見などはもってのほかだ。

 

  男は再び家に戻った。それから男の「ただ一点のみを見つめる日々」が始まった。男は右利きだったため、左手の人差し指を立て、その爪の先を見つめながら万事をこなした。始めて3ヶ月経つと、彼は人差し指の爪を見つめながらサンマの塩焼きの身と骨を綺麗に分けて食べられるようになった。さらに6ヶ月の後、男は爪の先を見つめたままシャンプーをした。何度も泡が目に入ったが、一度も目を瞑らずに洗いきった。トリートメントもして髪の毛がトゥルトゥルになった。1年半が過ぎた。もはや男はパッチリと目を開け、爪の先見つめながら寝ることさえできるようになっていた。そして早くも3年の歳月が過ぎた。暑い夏の日、彼は海に出かけた。青い海と白い浜、そして水着ギャル達の黄色い声。しかし男の目に入るのは自分の爪先の肌色ただ一色だけだった。

 

  男はさっそく師匠の元にいき、これを報告した。ジョージは嬉しそうに微笑み「でかしたぞ」と初めて男を褒めた。そしてハンドスピナーの奥義、秘伝をあますことなく男に授けた。

 

  基礎の訓練に5年もかけたおかげで、男の腕前の成長は驚くほど早い。奥義秘伝を授かり10日もすれば、男はジョージと同じく、片手で軽く弾いただけで一日中回せるようになった。20日ののちには、机に置いたハンドスピナーを両手で回すと、ハンドスピナーは自分の回転の力で浮いてどこかへ飛んで行ってしまった。

 

  

    もはや師匠から学ぶものはなにもなくなった男は、ある日、ふと良からぬことを考えた。今ハンドスピナーで自分に敵う者は師匠しかいない。自分が天下一の名人になるには、どうしても師匠を倒さなければならない。男は師匠に挑戦状を叩きつけた。ジョージもそれに応え、二人は対峙し、同時にハンドスピナーを回した。互いのハンドスピナーは、指の間で回り続ける。1日が過ぎ、2日が過ぎ、5日目の朝、二人の身体、精神はついに限界を迎え、同時に膝をついた。野望が叶わなかった男の心に、傲慢になった自分への反省が沸き起こった。ジョージの方は、危機を乗り越えた安堵と、衰えていない自分の技術への満足が敵に対する憎しみを忘れさせた。二人は抱き合い、美しい師弟愛の涙にくれた。

 

  涙にくれながらも、また弟子にこんなことをされては困ると思った師匠は、男に新たな目標を与えた。ジョージは男に、これ以上の道を極めたければ、遠く西の山の頂にジェームスといって、昔も今も例を見ないほど凄い方がいらっしゃる。ジェームスの技に比べれば、私達の技など子供の遊びのようだ。お前の師匠はもう彼しかいない。

 

  男はすぐに旅立った。自分の技は子供の遊びだと言われたことが男の自尊心に傷をつけた。自分の目でジェームスの技を確かめ、腕を比べたいと焦り、道を急ぐ。いくつもの山を越え、1ヶ月ののちに、ようやくたどり着いた。

 

 

  殺気立った男を迎えたのは、柔らかい顔つきの酷くよぼよぼの爺さんである。腰が曲がり、白く伸びた髭は地面に引きづられている。

 

  男は、大声で自分が来た理由を告げた。自分の技を見てほしいと言ったが、あせった男は相手の返事を待たずに、いきなりハンドスピナーを両手で回し宙に浮かせた。

 

  ひと通りできるようじゃな。老人は薄く笑いを浮かべ言う。しかし、それはしょせん「回の回」というもの。お主はまだ「不回の回」を知らないようだ。

 

 

  ムッとした男を横目にジェームスは両手の人差し指と親指を何かをつまむような形にして構えた。男はハンドスピナーは?と聞いた。ハンドスピナー?と老人は笑う。ハンドスピナーが必要なうちはまだ「回の回」だ。「不回の回」にはハンドスピナーは要らぬ。

 

 

  老人はほいっと掛け声をかけると、見えざるハンドスピナーの回転の力で、老人がふわふわと浮き始まるではないか。男は戦慄した。その時、初めて芸道の真髄を見た心地がした。

 

 

 

  9年の間、男はこの老人の元にいた。その間、どんな修行をしたかは誰にもわからない。9年が経ち、山を降りて来たとき、人々は男の顔つきが変わったことに驚いた。前までの負けず嫌いでたくましい顔つきではなく、なんの表情もない、精魂の抜けたような顔になっている。久しぶりにジョージを訪ねたとき、しかし、ジョージはこの顔つきをみて叫んだ。これでこそ初めて天下の名人だ!我など足元にも及ばぬと。

 

  

 

  町の人々は男がどんなすごい技を披露するのか期待に沸き立った。

 

 

 

  ところが男はいっこうにその要望に応えてようとしない。しかもハンドスピナーさえ手に取ろうとしない。山に入るとき持っていった日本製の高級ハンドスピナーもどこかへ捨てたようである。町の一人にその理由をたずねられ、男は物憂げに言った。回すという行為を追求していくと、回す行為を超える段階に達する。言葉を追求すれば言葉を超える段階に達し、ハンドスピナーを極めればハンドスピナーを回さないという段階にまで至るのだ。とても物分かりのいい町の人々はすぐに理解して、ハンドスピナーを回さざるハンドスピナーの名人は彼らの誇りとなった。

 

 

  これ以上ない名声の中で男はしだいに老いていく。すでに回を離れた男の顔からはますます表情がなくなり、話すことも稀になり、ついには呼吸の有無さえ疑われるようになった。

 

 

  ジェームスの元から去って40年ののち、男は静かに、誠に煙のごとく静かに世を去った。その40年間、彼は決してハンドスピナーを回すことも口にすることもなかった。

 

 

  男について、次のような妙な話がひとつ伝わっている。

 

 

  その話は、彼が死ぬ1、2年前のことらしい。ある日老人となった男が、知人の家に招かれて行ったとき、その家で1つの器具を見た。たしかに見覚えのある道具だが、どうしてもその名前が思い出せないし、その用途もわからない。男は知人にたずねた。それは何というもので、なにに使うのか、と。知人は男が冗談を言っていると思ってニヤリと笑った。男は真剣になってもう一度たずねる。それでも知人は困ったように笑い、男の考えをはかりかねた様子である。三度男が真面目な顔で同じ質問をした時、はじめて知人は驚愕した。男が冗談を言っているのではなく、気が狂っているのでもない、また自分の聞き間違えでもないと分かると、彼はほとんど恐怖に近い狼狽をみせ、どもりながら叫んだ。

「あぁ、あなたが!、、古今無双の回の名人であるあなたが!ハンドスピナーを忘れ果てられたのか!あぁ、ハンドスピナーという名も!その使い方も!!」

 

  その後当分の間、町では、画家は筆を置き、ミュージシャンはギターの弦を切り、インスタグラマーはインスタグラムに投稿することを恥じたということである。

 

 

 

※この物語は中島敦名人伝」のオマージュである。(ごめんなさいモロパクリっす)

  

ザ・ストリップ 〜天体観測をするおっさん〜

 

お久しぶりです。話を前後半に分けた手前、最悪でも一週間以内に後半を更新しようと思っていましたが、気づけばだいぶん経っていました。反省はというと、これが全くしてないのです。いわゆる冨樫義博スタイルです。又は井上雄彦スタイルです。天才って、よく休むやん?待たせるやん?ってやつです。天才になりたければ天才のふりをすればいいって、ダリも言うてましたよ。まぁ、2人ともあんまり知らんけど。HUNTER×HUNTERスラムダンクも読んでないよ!

 

 

漫画の表紙裏にある作者の一言みたいなコーナーを意識して言い訳を書いてみたところで後半、始まるよ〜 !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開演10分前。120人のおっさんは"3000円で女性の裸を見る"という共通目的を持って、劇場になだれ込んだ。劇場はこんな感じだ。

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下が丸くなっているT字の部分が舞台で、その周りの長方形が座席だ。意外なことに全て自由席になっていて、最前列は埋まっていた。僕が座ったのは、真ん中の丸い舞台の左下、斜めの長方形の2番目左端だ。

 

 

 

 

 

 

 

劇場内はやはり撮影禁止だったけれど、、、始まる前ならいいか(もちろんダメ!良い子はマネしないでね)と思って撮った。

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写真を見ると「おいおいあんまりおっさん入ってねぇじゃねぇか」と思うかもしれないが、安心しておくれ、一旦場所どりしたおっさん達がトイレなりロビーなりに出ていって一時的にいないだけだ。開演したときには満員御礼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで「東洋ショー」のシステムを説明しておこう。料金は3000円で一公演につき5人の女優さんが出演する。1人20分の演舞が5回繰り返される。3人の出番が終わったところで、その3人が全員出てきて写真撮影タイム&小休憩。1枚500円です。ツーショットも撮れますよ!それが終わると残りの2人の演舞があり、2人の写真撮影タイムがあって終了となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分前。約120人のおっさんが再び集結し、それぞれが難しい顔をして黙っている。この状況を荒木飛呂彦が描くとゴゴゴゴゴゴ…となるだろうし、福本伸行が描くとざわざわざわざわ…となるだろう。※なんだか今回は漫画ネタが多いけれど、ジョジョはにわかでカイジに至っては読んだこともない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗転し、アナウンスが流れ始める。その一節に

「応援は手拍子のみでお願いします」とあった。ほぉ、応援があるのか。ショッピングモールのヒーローショーみたいに、みんなの応援が力になるタイプなのか。でもそれなら手拍子のみは寂しい気がする。僕はおっさん達の雄叫びのごとき応援、歓声が聞きたかった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えたり考えなかったりしていると、遂にカーテンがオープンした。ディスコティックなライトが舞台を照らし、音楽が流れ、1人目の女優が登場して踊り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからの経験を詳細に綴るには、生々しい表現を避けて通れず、本当に引かれてしまう。下ネタ言う奴もうグッナイだ。頭だけ良い奴とかブランド着てる奴と一緒にもうグッナイされてしまう。それではいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい、女子のことなんか考えず見たままを表現しやがれ!そもそもこんなブログに女性ファンなんかいねぇんだよ!いったい誰から身を守ってんだいコノヤロウ!真実を余すことなく伝えるのがジャーナリズムってもんだぜ。てめぇの体裁が可愛いってんならハナからストリップに行ったなんて報告すんじゃねぇ!それを書く勇気がねぇならやめちまえよ、バカヤロウ!

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、男性諸君の声が聞こえてくる。最近落語にハマってるから江戸っ子言葉で聞こえてくる。ごもっとも、おっしゃる通り、誠に耳がいたい。しかし、どうしても生々しく表現することは避けたい。指で数えられるほどの女性読者、そしてたまたま通りすがったあなた、そう、あなただ!あなたに僕はすがりたい!男たちよ、分かってくれるかいこの気持ち。嫌われたくないないんだ!あわよくば、、、モテたい!(モテる男はまずこんなブログなど書かないことを、この時の筆者は知る由もなかった…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は悩んだ、どうすれば女性に1ミリも引かれることなく、むしろ女性を惹きつけられるようにストリップを表現できるのか。夜寝る前に考える、朝起きて寝ぼけまなこで考える、朝食を摂りながら、歯を磨きながら、ウンコをしながら、電車に揺られながら、仕事をしながら、帰宅しながら、夕食を食べながら、お風呂に入りながら、ベッドで横になりながら、、、一日中、僕の頭のなかには一糸まとわぬ女性が回っていた。しかし答えは見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気分転換に1人でカラオケに行った(僕はカラオケが好きだ)。裸の女性でいっぱいいっぱいになった頭を一旦クールダウンさせなければ、いいアイデアが浮かぶものも浮かばない。何も考えずに歌って、頭をスッキリさせたかった。僕は手始めに喉を温める意も込めて比較的キーの低い尾崎豊の「I LOVE YOU 」を歌った。

 

 

 

 

 

 

 

 


きしむベッドの上で優しさを持ちより
きつく躰抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

 

 

 

 

 

 

 

このフレーズを歌ったとき、僕の手からマイクが滑り落ちた。尾崎豊だ!僕は答えを見つけた。尾崎豊は、愛の営みを「きしむベッドの上で優しさを持ちよる」と表現した。そこにはいやらしさのカケラもない。あるのは愛の美しさと切なさをはらんだ炎のような一瞬の輝きだ。命と命がぶつかりあう優しき格闘だ。生命の果てなき神秘だ。

 

 

 

 

 

(自分でも何を言ってるのかよく分からなくなってきたが)とにかく、神秘だ。神秘性を持たせたら何事も美しくなる。好奇と欲が渦巻くストリップでさえも、美しく描けるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

神秘。それは人知では決して推しはかれないような秘密!科学では到達できないフロンティア!人類にとって永遠のフロンティアであり、最大の神秘、それは宇宙だろう。

 

 

 

 

 

女性の胸部の2点と下半身の1点を辺で結ぶと、そこに細長い三角形が浮かび上がる。これはつまり夏の大三角形である。

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※参考:Wikipedia

右がはくちょう座のデネブ。

左がこと座のベガ。

そして、下がわし座のアルタイル。

 

 

 

美しく描くどころかロマンティシズムすら感じてしまうではないか。よし、少しばかり時を戻して、、、

 

 

 

 

……遂にカーテンがオープンした。ディスコティックなライトが舞台を照らし、音楽が流れ、1人目の女優が登場して踊り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た目は、ギリギリお姉さん。おそらくアラウンドサーティー。目を見開き、無理に口角を上げたまま固定しているような顔は「20世紀少年」のともだちランドにいる小池栄子のそれを彷彿とさせる。

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小池栄子

 

 

一曲目、ピンクのドレス姿で登場した小池は客と一切目を合わせず舞う。虚空を見つめて舞う。「踊る」と言うより「舞う」といった方が想像しやすい動き。水谷千恵子(友近ふんする大御所演歌歌手)の踊り方といえば想像できる人の方が少ないだろう。どういえば伝わるのか、とにかくどこか古めかしい動きで、その「舞い」だけにお金を払うかと言われれば払わない、そんなクオリティだ。

 

 

 

 

 

 

 

小池がボタンに手をかけた。周囲に緊張がはしる。おっさん達は顔色一つ変えず、さも興味なさげに小池を凝視する。小池が服を脱いだ!

すると中にもう一枚着ていた。

まだ着てんのかーーーい!!

僕は心の中で叫んだ。踊りも昭和なら演出も昭和である。結局一曲目はただ小池のそれほどでもない舞いを見せつけられただけだった。

 

 

 

 

 

 

続けざまに二曲目の音楽が流れ始めた。相変わらずキレのない「舞い」。その後半、小池は舞台の右端で後ろを向き、上の服を脱いだ。ついに小池のデネブとベガが晒されるのか。冷静に考えると小池のデネブもベガも特に見たくはないのだ。けれど、その瞬間の僕はドキドキしていた。本当に脱いで踊るんだ、と。小池が上の服と上の下着(ややこしい)を舞台袖に投げ捨てた!

すると裏方の人に違う服を渡され、着替え始めた。

また着んのかーーーーい!!

僕は心の中で叫んだ。はよ脱げや、なんて無粋に腹を立ててしまった。この「女優が脱ぐか脱がないかのせめぎ合い」がストリップの醍醐味だというのなら、僕がハマる余地はないと思った。一曲目、二曲目と見たくもない小池の星座を焦らされるだけで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして三曲目、小池は脱いだ。劇場という宇宙で、小池のデネブ、ベガ、アルタイルはついにその輝きを解き放った。120人のおっさん達の視線が集まる。小池が舞うと、ハリのないデネブとベガは上下に揺れ、左右に揺れた。小池が四方をおっさんに囲まれた丸い部分にきた。

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言い忘れていたが、この丸い部分、ゆっくりと回転するのだ。ここで小池が音楽に合わせてポーズを決める。それはヨガのようなポーズだったり、長友の体幹トレーニングみたいなポーズだったりする。

 

 

 

 

 

 

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普段の生活では、たかが「布切れ2、3枚」と近そうだが、何億光年も先にあるかのように決して手の届かないデネブ、ベガ、アルタイル。AVという名の天体望遠鏡でしか見ることのできない3つの恒星が、今、目と鼻の先にある。強烈な引力がおっさん達の視線を吸い込んで離さない。小池がポーズを決めるたびに、おっさん達が一斉に拍手でもって応援する。僕も戸惑いながら拍手をする。小池のアルタイルがゆっくり自転し、おっさん達が拍手をする。それを曲中繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

3曲目が終わると、一旦小池が舞台裏にはけた。すると、次は「オープンショー」なるものが始まるという。オープンショーをご存知だろうか。何がどうオープンなのかわからなかったが、そこには想像をはるかに超えたオープンがあった。同じように音楽が流れてくるのだが、今までの昭和感とは打って変わり、聞いたことのあるイントロのポップチューンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミノコエヲキカセテ~~

サア ボウケンシテミナ~~イ
タノシイコトハジメヨウッ

遊びたい ぜったい とぅ たいッ! たいッ! たいッ!

 

 

 

 

 

いきものがかりの「じょいふる」だ。ボウケン、、、タノシイコト、、、意味深だ。とぅ たいッ!たいッ!たいッ!、、、い、意味深だ。今まで「じょいふる」の歌詞がこんなにも意味深に聞こえたことがあっただろうか。僕はボウケンシテミタクなったし、タノシイコトハジメタクなったし、ぜったい とぅ たいッ!たいッ!たいッ!したくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

120人のおっさんが作る劇場の空気と見事にアンマッチなミュージックをバックグラウンドにして小池が再び登場した。オープンショーともなると初めからデネブ、ベガ、アルタイルは宇宙に晒されていた。小池はただ一枚、背中に自分の名前が大きく書かれたクソダサいはっぴを羽織っているだけだった。

 

 

 

 

 

 

オープンショーの小池はもう、踊りすらしない。全方位のおっさんの目の前までいき、片足を持ち抱え、アルタイルの神秘を見せつけるのだ。さっきまでの焦らしはどこへやら。「どうだ?」と言わんばかりに堂々と見せつけてくる。それがオープンショーだ。小池の圧巻の見せっぷりに、おっさんはというと、見ているのである。しかしおっさんは心の中の興味津々を隠している。腕を組み、眉をひそめ、まるでアラビア語で書かれた考古学論文を読むような難しい顔をしている。学問の顔をしながら、視線の先にはアルタイル。その輝きを一閃たりとも逃さんと、アルタイル一点だけを凝視している。口を固く結んだまま、全身ピクリとも動かずに。僕はその光景に、決してニヤついてはならないというおっさんの覚悟をみた。

 

 

 

 

オープンショーと同時に小池の出番も終わった。そろそろ書くのが疲れたし、だいぶん前から読むのが疲れていると思う。後の4人のことは割愛する。というよりも、他の4人もシステムは小池と同じだったので書く必要もあまりないのだ。

 

 

アンパンマンが必ず顔を濡らされるように、4人とも3曲目までは必ず脱がないし、アンパンマンが最後には必ずバイキンマンを倒すように、4人とも最後は必ずオープンショーで惜しみなくアルタイルを見せつけて帰る。決まり切ったストーリー展開だったからだ。

 

 

 

 

 

どんな女優がいたのか気になる人のために彼女らの特徴だけ記しておこう。

 

 

小池の次に出演した女優は、昔の中島みゆきをちょっと丸くした感じのほふく前進が得意(オープンショーで前触れもなく匍匐前進を披露し、よくわからない空気になった)なアラウンドサーティー。

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ゆきの次は、唯一僕と同じ世代で、唯一名前も覚えている女優、「春野いちじく」。いかにもAV女優っぽい名前で見た目はAKBの一期生にいそうな感じ。

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その次はアングリーバードに似ているシャクレのこれまたアラウンドサーティー。

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そして大トリは、宝塚歌劇団の男役のなりそこないみたいなアラウンドフォーティー。

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※画像はたぶんトップスターの蘭寿とむさんです。 

「清く正しく美しく」

 

 

 

 

 

 

初めてのストリップは幕を閉じた。3000円で乗車券を買った銀河鉄道、遥か宇宙の旅の果てに出会ったデネブ、ベガ、そしてアルタイル。神秘に包まれたそれを僕は間近でみたはずだけれど、相変わらず神秘のままである。それゆえにおっさんを惹きつけるのだ。この物語の主人公はいったい誰だろう。僕は、同じ列車に乗り合わせた運命共同体である120人のおっさんだと思った。

 

 

 

なんかうまいことまとまって良いこと言った感じで終わろうとしたけど失敗したから、

 

 

 

 

 

ザ・ストリップ 〜浴衣美人の強襲〜

 

 

 

 

ある日、私の心にある思いが宿ったーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10代後半〜20代前半の女性にターゲットを絞り切り、標準を合わせまくり、ゆくゆくは『Seventeen』『non-no』『Can-Cam』『an・an』『小悪魔ageha』『姉ageha』などのガーリーでフェミニンでカジュアルな女性誌のコラムに掲載されることを最終的な目標としている当ブログにはいささか似つかわしい思い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ストリップを観てみたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台上の女性が、服を脱ぎ、全裸で踊るという、あのストリップだ。

 

 

 

 

 

 

ある日、どこからともなく私の心に芽生えた「ストリップが観たい」という小さな思いは、 私の性欲、というよりも、好奇心をエサにしてどんどんと成長した。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、先述の通りこのブログは10代後半〜20代前半の女性にターゲットを絞りこんでしまっている。ガーリーでフェミニンでモードな女性誌、たとえば『Seventeen』『non-no』『Can-Cam』『an・an』『小悪魔ageha』『姉ageha』にコラムが掲載されるために日々、女性的な感性を磨き、カワイイ記事を心がけているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな私がストリップを観に行き、それ記事にしてここにアップしているのが発覚したあかつきにはどうなるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆるふわ女子の抜け感講座」

「愛され女子のマル秘SNSテクニック」

「今夜はヨガヨガ!~洋画観ながらヨガをして、ココロもカラダも癒しちゃう~」

「女だってニンニク食べたいもんっ!」

「男と漢の見分け方~私たちはココをみる!~」

「ベッドのぬいぐるみでわかる。遊ばれる女と一途に愛される女」

 「好きはスキマを突きましょう」

 

 

 

 

 

 

などの大人気記事を連発し、ガールズ&レディスのカリスマとなってAbemaTVやニコ生で司会業もこなすようになってる未来の私の地位を大いに揺るがすことになる。今まで盲目的に支持してくれた純真無垢なガールズ&レディスの心に一滴の墨汁が垂れるように疑心暗鬼が滲み広がり、やがて一切の信用はなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たった一度、たった一度だけなんだ!」

「好奇心で行っただけなんだ!」

 

 

 

私は必死に叫ぶ。世の中に。しかし、猜疑心に満ち満ちた女子たちはその叫びを「ぐへへ、やっぱりストリップは最高だなぁ、やめられねぇや、ひっひっひ」と変換し拡散する。私が必死にもがけばもがくほど、真実なんてどうでもよく、ただ堕ちゆく人を更に堕とすことを愉しむネットの住民が寄ってたかり、間もなくウソは事実となる。

 

 

 

 

 

週刊誌には毎号毎号根も葉もないスキャンダルが踊り、ニュースはどのチャンネルをつけても悪意ある私の顔写真とVTR。ワイプには知ったかぶりのコメンテーター。

 

 

 

 

 

 

その頃新しく雑誌で始まった連載「愛し愛されwhat's you say☆」は第2回にして自粛。出演CM全て打ち切り。教師役として主演が内定してたケータイ小説が原作の「エリート教師と悪戯教室~純愛黒板消しオトし篇~」も制作取り消し。

 

 

 

 

 

 

有名になりつつある頃、天狗だった私は事務所に入らなかった。全ての損害賠償は個人に請求され、一瞬にして何百億もの負債を背負う。信頼していた大人達も手のひら返しで去り、頼れるものはいない。むかえる自己破産。都心に買った高層マンション43階も差し押さえ。

 

 

 

 

 

 

その場しのぎのアパート代もない。それどころか地元に帰るお金すらない。ふらふらと歩く。高架下で雨風をしのいで、繁華街の生ゴミを漁り食う。あれから何ヶ月がたっただろう。時間の感覚がない。髪の毛もヒゲも伸び散らかし、ボロボロになった服にはフケが積もる。

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前の高架下に段ボールを敷き、ただひたすら座り続け時が流れるのを待つ。2人のJKが通りすがり、汚物をみるような目で私を蔑む。

「え、まじキモいんだケド〜」

「やめなよ、聴こえちゃうって 笑」

「いいぢゃんこんなやつ。いないのと一緒ぢゃん?」

「ホントあんたヒドいよね。だからカレシできないんだよ 笑」

「うるさっ。ってか昨日ミキのインスタみたぁ?……

 

去っていくJKの1人が持っていたのは私の最後の仕事になった「愛し愛されwhat's you say☆」が掲載されている雑誌の付録のハンドバッグだ。

 

 

 

めまぐるしい盛者必衰に心身ともにくたびれた私は、誰にも見つからない所を探しさまよう。どこかもわからぬ場所で、自分でも気づかないうちに野垂れ死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実に怖い。ほんとうに怖い。何が一番怖いかって、これが決して訪れるはずのない未来というこだ。全くもって意味のないフィクションを延々と垂れ流していることだ。皆様の有限な時間を、この何の含蓄も教養もない文章を読むことに費やさせていることだ。申し訳ない。しかし、申し訳ないと思いつつまだ続く。けれどこれからの文章はノンフィクションなので、もう少しお付き合い願いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストリップを観に行きました☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

観に行きたいと思ってからすぐに観に行った。でも、これだけは覚えておいてほしい。僕はただ、観たことのない世界への好奇心によって突き動かされただけで、決して「えろ心」があったわけではない。そんなものは全くのゼロだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで今回僕が観に行ったのは、天満にある有名老舗ストリップ劇場「東洋ショー」

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この電線の感じ、看板のくすんだ色味!なんたる昭和感!昭和レトロな外観が僕の好奇心を刺激しまくる。

 

 

 

 

 

 

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 入り口。

 

 

 

 

 

 

いざ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でーーーーーーーーーーーーーーん!!!

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間違った。色味が似ていたから、僕が週2で通っているトレーニングルームの写真をあげてしまった。

 

 

 

手前のマットで入念にストレッチをしてから

 

 

 

 

①まずはチェストプレス

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これで大胸筋を中心に、三角筋上腕三頭筋も同時に鍛えて…という話はまた後日にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東洋ショー」の内装をぜひとも写真と共に紹介したいのだが、あいにく写真撮影が禁止らしい。

 

 

 

 

 

 

 

入り口から受付まで長めの廊下と階段を数回繰り返す。壁には出演者達が艶やかな目つきで誘惑するポスターが貼られている。ピンクや紫、黄色などのライトが点滅し、無機質な廊下に妖艶な雰囲気を加える。何人かの気難しそうなおっさんとすれ違う。

 

 

 

 

 

 

受付に着いた。

 

カウンターには浴衣の若い受付嬢。しかも、これがなかなかの美人なのだ。ストリップの受付は、ラブホの受付のおばちゃんと全く同じ種類のおばちゃんがしていると勝手に決めつけて油断していた。そこにいいきなり現れた浴衣美人!動揺を隠せない。この美人に「ストリップに通い慣れてるヘンタイ」と思われたくない!なんとか「この人はただの好奇心で初めて観にきただけなんだね」と思われなければならない!美人の前で格好つけようとする男の悲しいサガである。

 

そうだ、初めてきたから勝手がわからない人を最大限にアピールするのだ。そうすることでこの浴衣美人に健全な人だと思ってもらえるはずだ。でも、どうすればいい。どうしたらいい具合に「勝手がわからない人」になれる?何も思いつかない。焦る。横を見れば券売機がある。何も難しくない。絶対にこの券売機でチケットを買うだけだ。しかし、僕は受付の浴衣美人に言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これ買えば良いんですかね??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愚問ッ!!!!!!!!!!

 

 

まれにみる愚問!!!!!

 

 

 

買うに決まっている!!!!!

 

 

 

勝手がわからないにもほどがある!!!

これでは逆に変な人だ!!!

 

 

 

 

 

現代で何かを鑑賞するには相応の対価が必要だ。受付があって、横に券売機があるのに、タダで入れるわけがないのだ。券売機があるなら、そこで券を買って入場の権利と交換する。「買わない」という選択肢はありえない。

 

 

 

 

 

 

しかも券売機には3000円と書いたボタンが3つと、札を入れる口が1つしかない。あらゆる券売機の中でももっともシンプルな部類に入る券売機なのだ。迷うはずがない。

 

 

 

そこらへんの猿でもわかるシステムの前で必死に「初めて来ました感」を演出する若い男の愚問に、浴衣美人は無愛想極まりなく一言「はい」と答える。僕には見えた。彼女の顔にでっかく「あたりまえやん」と刻まれているのを。

 

 

 

 

 

 

「っすよね…」

 

 

 

僕は消え入りそうな声で言った。苦し紛れの「いや、わかってはいたんですけどね」の旨が届いたかどうかはわからない。

 

 

 

 

 

 

傷ついた僕はそそくさと入場券を購入した。その時の僕のそそくさは、もはやそそくせすとというべきそそくさだった。そそくさの最上級である、そそくせすとだ。

※[そそくさ/そそくさー/そそくせすと]

 

 

 

 

 

 

 受付、劇場、待合スペースは全てワンフロアに

 あり、上からみるとこんな感じだ。f:id:walkmanHB:20170810141208j:image

 

 

 

この図を見て、気になるところがあるとすると、もこもことした部分ではないだろうか。待合スペースを埋め尽くすもこもこした部分。これは全ておっさんである。ネズミ一匹紛れ込んでいない、純度の高いおっさんの群れ。24カラットおっさん。100%おっさん。見渡す限りのおっさん。しかも彼らはただのおっさんではない。"女性の裸を見るために集まった"おっさんだ。誰1人として言葉を発さない。人間が一定数集まった時に起きるガヤガヤが一切ない。ネット情報によると劇場のキャパシティは約120人らしい。つまりここにあるのは"3000円で女性の裸を見にきた"120人のおっさん。その群れが放つじめっとした緊張感。

 

 

 

 

 

 

僕は3000円を払い、もはやひとつの生命体と成ったおっさん群の一部に取り込まれた。開演まで、あと15分のことだった…。

 

 

 

 

☆次回予告☆

120人のおっさんを前にして遂にストリップが開幕!

〜舞い踊る永遠のフロンティア〜