大を小で流す。

往往にして、大は小で流します。

ザ・ストリップ 〜浴衣美人の強襲〜

 

 

 

 

ある日、私の心にある思いが宿ったーーー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

10代後半〜20代前半の女性にターゲットを絞り切り、標準を合わせまくり、ゆくゆくは『Seventeen』『non-no』『Can-Cam』『an・an』『小悪魔ageha』『姉ageha』などのガーリーでフェミニンでカジュアルな女性誌のコラムに掲載されることを最終的な目標としている当ブログにはいささか似つかわしい思い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ストリップを観てみたい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そう。

 

 

 

 

 

 

 

 

舞台上の女性が、服を脱ぎ、全裸で踊るという、あのストリップだ。

 

 

 

 

 

 

ある日、どこからともなく私の心に芽生えた「ストリップが観たい」という小さな思いは、 私の性欲、というよりも、好奇心をエサにしてどんどんと成長した。

 

 

 

 

 

 

 

 

しかし、先述の通りこのブログは10代後半〜20代前半の女性にターゲットを絞りこんでしまっている。ガーリーでフェミニンでモードな女性誌、たとえば『Seventeen』『non-no』『Can-Cam』『an・an』『小悪魔ageha』『姉ageha』にコラムが掲載されるために日々、女性的な感性を磨き、カワイイ記事を心がけているのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな私がストリップを観に行き、それ記事にしてここにアップしているのが発覚したあかつきにはどうなるだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆるふわ女子の抜け感講座」

「愛され女子のマル秘SNSテクニック」

「今夜はヨガヨガ!~洋画観ながらヨガをして、ココロもカラダも癒しちゃう~」

「女だってニンニク食べたいもんっ!」

「男と漢の見分け方~私たちはココをみる!~」

「ベッドのぬいぐるみでわかる。遊ばれる女と一途に愛される女」

 「好きはスキマを突きましょう」

 

 

 

 

 

 

などの大人気記事を連発し、ガールズ&レディスのカリスマとなってAbemaTVやニコ生で司会業もこなすようになってる未来の私の地位を大いに揺るがすことになる。今まで盲目的に支持してくれた純真無垢なガールズ&レディスの心に一滴の墨汁が垂れるように疑心暗鬼が滲み広がり、やがて一切の信用はなくなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「たった一度、たった一度だけなんだ!」

「好奇心で行っただけなんだ!」

 

 

 

私は必死に叫ぶ。世の中に。しかし、猜疑心に満ち満ちた女子たちはその叫びを「ぐへへ、やっぱりストリップは最高だなぁ、やめられねぇや、ひっひっひ」と変換し拡散する。私が必死にもがけばもがくほど、真実なんてどうでもよく、ただ堕ちゆく人を更に堕とすことを愉しむネットの住民が寄ってたかり、間もなくウソは事実となる。

 

 

 

 

 

週刊誌には毎号毎号根も葉もないスキャンダルが踊り、ニュースはどのチャンネルをつけても悪意ある私の顔写真とVTR。ワイプには知ったかぶりのコメンテーター。

 

 

 

 

 

 

その頃新しく雑誌で始まった連載「愛し愛されwhat's you say☆」は第2回にして自粛。出演CM全て打ち切り。教師役として主演が内定してたケータイ小説が原作の「エリート教師と悪戯教室~純愛黒板消しオトし篇~」も制作取り消し。

 

 

 

 

 

 

有名になりつつある頃、天狗だった私は事務所に入らなかった。全ての損害賠償は個人に請求され、一瞬にして何百億もの負債を背負う。信頼していた大人達も手のひら返しで去り、頼れるものはいない。むかえる自己破産。都心に買った高層マンション43階も差し押さえ。

 

 

 

 

 

 

その場しのぎのアパート代もない。それどころか地元に帰るお金すらない。ふらふらと歩く。高架下で雨風をしのいで、繁華街の生ゴミを漁り食う。あれから何ヶ月がたっただろう。時間の感覚がない。髪の毛もヒゲも伸び散らかし、ボロボロになった服にはフケが積もる。

 

 

 

 

 

 

 

 

駅前の高架下に段ボールを敷き、ただひたすら座り続け時が流れるのを待つ。2人のJKが通りすがり、汚物をみるような目で私を蔑む。

「え、まじキモいんだケド〜」

「やめなよ、聴こえちゃうって 笑」

「いいぢゃんこんなやつ。いないのと一緒ぢゃん?」

「ホントあんたヒドいよね。だからカレシできないんだよ 笑」

「うるさっ。ってか昨日ミキのインスタみたぁ?……

 

去っていくJKの1人が持っていたのは私の最後の仕事になった「愛し愛されwhat's you say☆」が掲載されている雑誌の付録のハンドバッグだ。

 

 

 

めまぐるしい盛者必衰に心身ともにくたびれた私は、誰にも見つからない所を探しさまよう。どこかもわからぬ場所で、自分でも気づかないうちに野垂れ死ぬ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

実に怖い。ほんとうに怖い。何が一番怖いかって、これが決して訪れるはずのない未来というこだ。全くもって意味のないフィクションを延々と垂れ流していることだ。皆様の有限な時間を、この何の含蓄も教養もない文章を読むことに費やさせていることだ。申し訳ない。しかし、申し訳ないと思いつつまだ続く。けれどこれからの文章はノンフィクションなので、もう少しお付き合い願いたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ストリップを観に行きました☆」

 

 

 

 

 

 

 

 

観に行きたいと思ってからすぐに観に行った。でも、これだけは覚えておいてほしい。僕はただ、観たことのない世界への好奇心によって突き動かされただけで、決して「えろ心」があったわけではない。そんなものは全くのゼロだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなわけで今回僕が観に行ったのは、天満にある有名老舗ストリップ劇場「東洋ショー」

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この電線の感じ、看板のくすんだ色味!なんたる昭和感!昭和レトロな外観が僕の好奇心を刺激しまくる。

 

 

 

 

 

 

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 入り口。

 

 

 

 

 

 

いざ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 でーーーーーーーーーーーーーーん!!!

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間違った。色味が似ていたから、僕が週2で通っているトレーニングルームの写真をあげてしまった。

 

 

 

手前のマットで入念にストレッチをしてから

 

 

 

 

①まずはチェストプレス

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これで大胸筋を中心に、三角筋上腕三頭筋も同時に鍛えて…という話はまた後日にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「東洋ショー」の内装をぜひとも写真と共に紹介したいのだが、あいにく写真撮影が禁止らしい。

 

 

 

 

 

 

 

入り口から受付まで長めの廊下と階段を数回繰り返す。壁には出演者達が艶やかな目つきで誘惑するポスターが貼られている。ピンクや紫、黄色などのライトが点滅し、無機質な廊下に妖艶な雰囲気を加える。何人かの気難しそうなおっさんとすれ違う。

 

 

 

 

 

 

受付に着いた。

 

カウンターには浴衣の若い受付嬢。しかも、これがなかなかの美人なのだ。ストリップの受付は、ラブホの受付のおばちゃんと全く同じ種類のおばちゃんがしていると勝手に決めつけて油断していた。そこにいいきなり現れた浴衣美人!動揺を隠せない。この美人に「ストリップに通い慣れてるヘンタイ」と思われたくない!なんとか「この人はただの好奇心で初めて観にきただけなんだね」と思われなければならない!美人の前で格好つけようとする男の悲しいサガである。

 

そうだ、初めてきたから勝手がわからない人を最大限にアピールするのだ。そうすることでこの浴衣美人に健全な人だと思ってもらえるはずだ。でも、どうすればいい。どうしたらいい具合に「勝手がわからない人」になれる?何も思いつかない。焦る。横を見れば券売機がある。何も難しくない。絶対にこの券売機でチケットを買うだけだ。しかし、僕は受付の浴衣美人に言っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、これ買えば良いんですかね??」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愚問ッ!!!!!!!!!!

 

 

まれにみる愚問!!!!!

 

 

 

買うに決まっている!!!!!

 

 

 

勝手がわからないにもほどがある!!!

これでは逆に変な人だ!!!

 

 

 

 

 

現代で何かを鑑賞するには相応の対価が必要だ。受付があって、横に券売機があるのに、タダで入れるわけがないのだ。券売機があるなら、そこで券を買って入場の権利と交換する。「買わない」という選択肢はありえない。

 

 

 

 

 

 

しかも券売機には3000円と書いたボタンが3つと、札を入れる口が1つしかない。あらゆる券売機の中でももっともシンプルな部類に入る券売機なのだ。迷うはずがない。

 

 

 

そこらへんの猿でもわかるシステムの前で必死に「初めて来ました感」を演出する若い男の愚問に、浴衣美人は無愛想極まりなく一言「はい」と答える。僕には見えた。彼女の顔にでっかく「あたりまえやん」と刻まれているのを。

 

 

 

 

 

 

「っすよね…」

 

 

 

僕は消え入りそうな声で言った。苦し紛れの「いや、わかってはいたんですけどね」の旨が届いたかどうかはわからない。

 

 

 

 

 

 

傷ついた僕はそそくさと入場券を購入した。その時の僕のそそくさは、もはやそそくせすとというべきそそくさだった。そそくさの最上級である、そそくせすとだ。

※[そそくさ/そそくさー/そそくせすと]

 

 

 

 

 

 

 受付、劇場、待合スペースは全てワンフロアに

 あり、上からみるとこんな感じだ。f:id:walkmanHB:20170810141208j:image

 

 

 

この図を見て、気になるところがあるとすると、もこもことした部分ではないだろうか。待合スペースを埋め尽くすもこもこした部分。これは全ておっさんである。ネズミ一匹紛れ込んでいない、純度の高いおっさんの群れ。24カラットおっさん。100%おっさん。見渡す限りのおっさん。しかも彼らはただのおっさんではない。"女性の裸を見るために集まった"おっさんだ。誰1人として言葉を発さない。人間が一定数集まった時に起きるガヤガヤが一切ない。ネット情報によると劇場のキャパシティは約120人らしい。つまりここにあるのは"3000円で女性の裸を見にきた"120人のおっさん。その群れが放つじめっとした緊張感。

 

 

 

 

 

 

僕は3000円を払い、もはやひとつの生命体と成ったおっさん群の一部に取り込まれた。開演まで、あと15分のことだった…。

 

 

 

 

☆次回予告☆

120人のおっさんを前にして遂にストリップが開幕!

〜舞い踊る永遠のフロンティア〜