大を小で流す。

往往にして、大は小で流します。

ザ・ストリップ 〜天体観測をするおっさん〜

 

お久しぶりです。話を前後半に分けた手前、最悪でも一週間以内に後半を更新しようと思っていましたが、気づけばだいぶん経っていました。反省はというと、これが全くしてないのです。いわゆる冨樫義博スタイルです。又は井上雄彦スタイルです。天才って、よく休むやん?待たせるやん?ってやつです。天才になりたければ天才のふりをすればいいって、ダリも言うてましたよ。まぁ、2人ともあんまり知らんけど。HUNTER×HUNTERスラムダンクも読んでないよ!

 

 

漫画の表紙裏にある作者の一言みたいなコーナーを意識して言い訳を書いてみたところで後半、始まるよ〜 !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 開演10分前。120人のおっさんは"3000円で女性の裸を見る"という共通目的を持って、劇場になだれ込んだ。劇場はこんな感じだ。

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下が丸くなっているT字の部分が舞台で、その周りの長方形が座席だ。意外なことに全て自由席になっていて、最前列は埋まっていた。僕が座ったのは、真ん中の丸い舞台の左下、斜めの長方形の2番目左端だ。

 

 

 

 

 

 

 

劇場内はやはり撮影禁止だったけれど、、、始まる前ならいいか(もちろんダメ!良い子はマネしないでね)と思って撮った。

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写真を見ると「おいおいあんまりおっさん入ってねぇじゃねぇか」と思うかもしれないが、安心しておくれ、一旦場所どりしたおっさん達がトイレなりロビーなりに出ていって一時的にいないだけだ。開演したときには満員御礼だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで「東洋ショー」のシステムを説明しておこう。料金は3000円で一公演につき5人の女優さんが出演する。1人20分の演舞が5回繰り返される。3人の出番が終わったところで、その3人が全員出てきて写真撮影タイム&小休憩。1枚500円です。ツーショットも撮れますよ!それが終わると残りの2人の演舞があり、2人の写真撮影タイムがあって終了となる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5分前。約120人のおっさんが再び集結し、それぞれが難しい顔をして黙っている。この状況を荒木飛呂彦が描くとゴゴゴゴゴゴ…となるだろうし、福本伸行が描くとざわざわざわざわ…となるだろう。※なんだか今回は漫画ネタが多いけれど、ジョジョはにわかでカイジに至っては読んだこともない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暗転し、アナウンスが流れ始める。その一節に

「応援は手拍子のみでお願いします」とあった。ほぉ、応援があるのか。ショッピングモールのヒーローショーみたいに、みんなの応援が力になるタイプなのか。でもそれなら手拍子のみは寂しい気がする。僕はおっさん達の雄叫びのごとき応援、歓声が聞きたかった。

 

 

 

 

 

 

 

そんなことを考えたり考えなかったりしていると、遂にカーテンがオープンした。ディスコティックなライトが舞台を照らし、音楽が流れ、1人目の女優が登場して踊り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そこからの経験を詳細に綴るには、生々しい表現を避けて通れず、本当に引かれてしまう。下ネタ言う奴もうグッナイだ。頭だけ良い奴とかブランド着てる奴と一緒にもうグッナイされてしまう。それではいけない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おい、女子のことなんか考えず見たままを表現しやがれ!そもそもこんなブログに女性ファンなんかいねぇんだよ!いったい誰から身を守ってんだいコノヤロウ!真実を余すことなく伝えるのがジャーナリズムってもんだぜ。てめぇの体裁が可愛いってんならハナからストリップに行ったなんて報告すんじゃねぇ!それを書く勇気がねぇならやめちまえよ、バカヤロウ!

 

 

 

 

 

 

 

 

あぁ、男性諸君の声が聞こえてくる。最近落語にハマってるから江戸っ子言葉で聞こえてくる。ごもっとも、おっしゃる通り、誠に耳がいたい。しかし、どうしても生々しく表現することは避けたい。指で数えられるほどの女性読者、そしてたまたま通りすがったあなた、そう、あなただ!あなたに僕はすがりたい!男たちよ、分かってくれるかいこの気持ち。嫌われたくないないんだ!あわよくば、、、モテたい!(モテる男はまずこんなブログなど書かないことを、この時の筆者は知る由もなかった…)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕は悩んだ、どうすれば女性に1ミリも引かれることなく、むしろ女性を惹きつけられるようにストリップを表現できるのか。夜寝る前に考える、朝起きて寝ぼけまなこで考える、朝食を摂りながら、歯を磨きながら、ウンコをしながら、電車に揺られながら、仕事をしながら、帰宅しながら、夕食を食べながら、お風呂に入りながら、ベッドで横になりながら、、、一日中、僕の頭のなかには一糸まとわぬ女性が回っていた。しかし答えは見つからなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気分転換に1人でカラオケに行った(僕はカラオケが好きだ)。裸の女性でいっぱいいっぱいになった頭を一旦クールダウンさせなければ、いいアイデアが浮かぶものも浮かばない。何も考えずに歌って、頭をスッキリさせたかった。僕は手始めに喉を温める意も込めて比較的キーの低い尾崎豊の「I LOVE YOU 」を歌った。

 

 

 

 

 

 

 

 


きしむベッドの上で優しさを持ちより
きつく躰抱きしめあえば
それからまた二人は目を閉じるよ
悲しい歌に愛がしらけてしまわぬ様に

 

 

 

 

 

 

 

このフレーズを歌ったとき、僕の手からマイクが滑り落ちた。尾崎豊だ!僕は答えを見つけた。尾崎豊は、愛の営みを「きしむベッドの上で優しさを持ちよる」と表現した。そこにはいやらしさのカケラもない。あるのは愛の美しさと切なさをはらんだ炎のような一瞬の輝きだ。命と命がぶつかりあう優しき格闘だ。生命の果てなき神秘だ。

 

 

 

 

 

(自分でも何を言ってるのかよく分からなくなってきたが)とにかく、神秘だ。神秘性を持たせたら何事も美しくなる。好奇と欲が渦巻くストリップでさえも、美しく描けるはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

神秘。それは人知では決して推しはかれないような秘密!科学では到達できないフロンティア!人類にとって永遠のフロンティアであり、最大の神秘、それは宇宙だろう。

 

 

 

 

 

女性の胸部の2点と下半身の1点を辺で結ぶと、そこに細長い三角形が浮かび上がる。これはつまり夏の大三角形である。

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※参考:Wikipedia

右がはくちょう座のデネブ。

左がこと座のベガ。

そして、下がわし座のアルタイル。

 

 

 

美しく描くどころかロマンティシズムすら感じてしまうではないか。よし、少しばかり時を戻して、、、

 

 

 

 

……遂にカーテンがオープンした。ディスコティックなライトが舞台を照らし、音楽が流れ、1人目の女優が登場して踊り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

見た目は、ギリギリお姉さん。おそらくアラウンドサーティー。目を見開き、無理に口角を上げたまま固定しているような顔は「20世紀少年」のともだちランドにいる小池栄子のそれを彷彿とさせる。

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小池栄子

 

 

一曲目、ピンクのドレス姿で登場した小池は客と一切目を合わせず舞う。虚空を見つめて舞う。「踊る」と言うより「舞う」といった方が想像しやすい動き。水谷千恵子(友近ふんする大御所演歌歌手)の踊り方といえば想像できる人の方が少ないだろう。どういえば伝わるのか、とにかくどこか古めかしい動きで、その「舞い」だけにお金を払うかと言われれば払わない、そんなクオリティだ。

 

 

 

 

 

 

 

小池がボタンに手をかけた。周囲に緊張がはしる。おっさん達は顔色一つ変えず、さも興味なさげに小池を凝視する。小池が服を脱いだ!

すると中にもう一枚着ていた。

まだ着てんのかーーーい!!

僕は心の中で叫んだ。踊りも昭和なら演出も昭和である。結局一曲目はただ小池のそれほどでもない舞いを見せつけられただけだった。

 

 

 

 

 

 

続けざまに二曲目の音楽が流れ始めた。相変わらずキレのない「舞い」。その後半、小池は舞台の右端で後ろを向き、上の服を脱いだ。ついに小池のデネブとベガが晒されるのか。冷静に考えると小池のデネブもベガも特に見たくはないのだ。けれど、その瞬間の僕はドキドキしていた。本当に脱いで踊るんだ、と。小池が上の服と上の下着(ややこしい)を舞台袖に投げ捨てた!

すると裏方の人に違う服を渡され、着替え始めた。

また着んのかーーーーい!!

僕は心の中で叫んだ。はよ脱げや、なんて無粋に腹を立ててしまった。この「女優が脱ぐか脱がないかのせめぎ合い」がストリップの醍醐味だというのなら、僕がハマる余地はないと思った。一曲目、二曲目と見たくもない小池の星座を焦らされるだけで終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして三曲目、小池は脱いだ。劇場という宇宙で、小池のデネブ、ベガ、アルタイルはついにその輝きを解き放った。120人のおっさん達の視線が集まる。小池が舞うと、ハリのないデネブとベガは上下に揺れ、左右に揺れた。小池が四方をおっさんに囲まれた丸い部分にきた。

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言い忘れていたが、この丸い部分、ゆっくりと回転するのだ。ここで小池が音楽に合わせてポーズを決める。それはヨガのようなポーズだったり、長友の体幹トレーニングみたいなポーズだったりする。

 

 

 

 

 

 

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普段の生活では、たかが「布切れ2、3枚」と近そうだが、何億光年も先にあるかのように決して手の届かないデネブ、ベガ、アルタイル。AVという名の天体望遠鏡でしか見ることのできない3つの恒星が、今、目と鼻の先にある。強烈な引力がおっさん達の視線を吸い込んで離さない。小池がポーズを決めるたびに、おっさん達が一斉に拍手でもって応援する。僕も戸惑いながら拍手をする。小池のアルタイルがゆっくり自転し、おっさん達が拍手をする。それを曲中繰り返していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

3曲目が終わると、一旦小池が舞台裏にはけた。すると、次は「オープンショー」なるものが始まるという。オープンショーをご存知だろうか。何がどうオープンなのかわからなかったが、そこには想像をはるかに超えたオープンがあった。同じように音楽が流れてくるのだが、今までの昭和感とは打って変わり、聞いたことのあるイントロのポップチューンだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キミノコエヲキカセテ~~

サア ボウケンシテミナ~~イ
タノシイコトハジメヨウッ

遊びたい ぜったい とぅ たいッ! たいッ! たいッ!

 

 

 

 

 

いきものがかりの「じょいふる」だ。ボウケン、、、タノシイコト、、、意味深だ。とぅ たいッ!たいッ!たいッ!、、、い、意味深だ。今まで「じょいふる」の歌詞がこんなにも意味深に聞こえたことがあっただろうか。僕はボウケンシテミタクなったし、タノシイコトハジメタクなったし、ぜったい とぅ たいッ!たいッ!たいッ!したくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

120人のおっさんが作る劇場の空気と見事にアンマッチなミュージックをバックグラウンドにして小池が再び登場した。オープンショーともなると初めからデネブ、ベガ、アルタイルは宇宙に晒されていた。小池はただ一枚、背中に自分の名前が大きく書かれたクソダサいはっぴを羽織っているだけだった。

 

 

 

 

 

 

オープンショーの小池はもう、踊りすらしない。全方位のおっさんの目の前までいき、片足を持ち抱え、アルタイルの神秘を見せつけるのだ。さっきまでの焦らしはどこへやら。「どうだ?」と言わんばかりに堂々と見せつけてくる。それがオープンショーだ。小池の圧巻の見せっぷりに、おっさんはというと、見ているのである。しかしおっさんは心の中の興味津々を隠している。腕を組み、眉をひそめ、まるでアラビア語で書かれた考古学論文を読むような難しい顔をしている。学問の顔をしながら、視線の先にはアルタイル。その輝きを一閃たりとも逃さんと、アルタイル一点だけを凝視している。口を固く結んだまま、全身ピクリとも動かずに。僕はその光景に、決してニヤついてはならないというおっさんの覚悟をみた。

 

 

 

 

オープンショーと同時に小池の出番も終わった。そろそろ書くのが疲れたし、だいぶん前から読むのが疲れていると思う。後の4人のことは割愛する。というよりも、他の4人もシステムは小池と同じだったので書く必要もあまりないのだ。

 

 

アンパンマンが必ず顔を濡らされるように、4人とも3曲目までは必ず脱がないし、アンパンマンが最後には必ずバイキンマンを倒すように、4人とも最後は必ずオープンショーで惜しみなくアルタイルを見せつけて帰る。決まり切ったストーリー展開だったからだ。

 

 

 

 

 

どんな女優がいたのか気になる人のために彼女らの特徴だけ記しておこう。

 

 

小池の次に出演した女優は、昔の中島みゆきをちょっと丸くした感じのほふく前進が得意(オープンショーで前触れもなく匍匐前進を披露し、よくわからない空気になった)なアラウンドサーティー。

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ゆきの次は、唯一僕と同じ世代で、唯一名前も覚えている女優、「春野いちじく」。いかにもAV女優っぽい名前で見た目はAKBの一期生にいそうな感じ。

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その次はアングリーバードに似ているシャクレのこれまたアラウンドサーティー。

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そして大トリは、宝塚歌劇団の男役のなりそこないみたいなアラウンドフォーティー。

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※画像はたぶんトップスターの蘭寿とむさんです。 

「清く正しく美しく」

 

 

 

 

 

 

初めてのストリップは幕を閉じた。3000円で乗車券を買った銀河鉄道、遥か宇宙の旅の果てに出会ったデネブ、ベガ、そしてアルタイル。神秘に包まれたそれを僕は間近でみたはずだけれど、相変わらず神秘のままである。それゆえにおっさんを惹きつけるのだ。この物語の主人公はいったい誰だろう。僕は、同じ列車に乗り合わせた運命共同体である120人のおっさんだと思った。

 

 

 

なんかうまいことまとまって良いこと言った感じで終わろうとしたけど失敗したから、